ホスピタルインフォ

第58回 独立行政法人 国立病院機構 東長野病院

【病院長の挨拶】
 緑に囲まれ、時がゆったり流れる当院は、重症心身障がい医療、地域医療および子どものこころ医療を三本柱として、広い視野に立った医療を行っています。
 重症心身障がい医療は入院のみならず、ショートステイおよび通園事業等の在宅支援にも力を注いでいます。地域医療は、慢性疾患および終末期の患者さんに "わが家が見える病院"として家族との絆を大切にした医療環境をつくり、患者さんのQOL(人生の質)と尊厳を大事にしています。発達障がい等の小児科の患者さんには若槻養護学校と連携して、入院しながら学び育つ環境を提供しています。
 職員一同、たゆまぬ意識改革を行いながら、患者さんの目線に立った医療を提供したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。







看護師を目指したきっかけ


 椅子に座って過ごすような仕事は向いていないと思っていましたし、家庭に縛られるのではなく、自立できる仕事に就きたいとも考えていました。そんなときに看護師をしている父の従姉から「患者さんがありがとうと言ってくれたときに、仕事の遣り甲斐を感じる」と聞き、一生の仕事として看護師を目指すようになりました。



看護師を続けてきた理由


 新人看護師時代に外科病棟と救命センターに勤務していました。亡くなっていく方が多い病棟でしたので、「生きるとは」、「死ぬとは」に直面し、患者さんやご家族から多くのことを教えていただきました。生死について、そこでとことん考えたことが今まで看護を続けてきた一番の理由だと思います。また、働く仲間に恵まれ、日常的に看護について語り合えたことも大きかったです。



自身の看護観


 看護師は患者さんの自己治癒能力の働きを助けることが仕事であり、患者さんの経過に良い影響を与えるのは看護師の能力にかかっています。自己研鑽を重ねて、看護の知識や技術を向上させる努力が必要だと考えます。また、病院は治療の場ばかりでなく、24時間を過ごす生活の場でもあります。患者さんが安全に安楽に過ごすことができるよう、患者さんに向き合い、何ができるかを考えていくことが重要です。



東長野病院の特徴と今後の展開


 風光明媚な高台に立ち、一般病棟と重症心身障がい児(者)病棟を中心に「わが家が見える病院」として、重症心身障がい児医療、地域医療、子どもの心の診療を3本柱に掲げ、治療と療育を行っています。 地域連携の強化の結果、一般病棟の入院患者さんも増加してきました。多職種が共同して患者さんに関わる環境が整っていますので、お互いを尊敬し、それぞれの専門的知識を結集して、さらにチーム医療を推進していきたいです。ご家族との絆を大切にし、じっくりと患者さんと向き合う病院を目指しています。



福利厚生


 宿舎や保育園があります。また、野球チームやバトミントンチームなど職員の交流が盛んです。長野県の夏祭り「びんずる祭り」では院長から新人まで同じハッピを着て、踊ります。団結力が高まりますよ。



ともに働きたい看護師の人物像


 当院の看護理念である「私たちは、看護を必要とする人の生命の尊厳と人権を尊重し思いやりのある、あたたかい看護を提供します」を理解し、共感してくださる方ですね。当院の患者さんは、一般科病棟でも重症心身障がい病棟でも言語的コミュニケーションができない方が多くいらっしゃいます。そのような方の人権を尊重し、真面目で誠実に看護に取り組んでいこうとする方を望みます。



看護師として働く方へのメッセージ


 専門職業人としての看護師の役割拡大が推進されています。看護は一生勉強です。学んで獲得した知識は看護師としての世界を広げてくれます。当院では国立病院機構、そのほかの研修以外に、院内認定重症心身障がい児(者)研修を企画し、看護師のキャリアアップを支援しています。当院の重症心身障がい児(者)病棟の患者さんにはほとんど褥瘡がありません。これは当院の自慢です。看護研究発表にも力を入れています。是非、どうぞ見学においでください。









独立行政法人国立病院機構東長野病院に入職されたきっかけをお聞かせください。



冨澤:学生時代に当院の重症心身障がい児(者)病棟の見学実習があり、看護師や保育士などスタッフが生き生きと働いており、障がいを持った患者さんの看護をやってみたいと思いました。


藤澤:学生時代に当院の重症心身障がい児(者)病棟の実習があり、重症心身障がい児(者)と関わる事が多くありました。そこで障がいを持った患者さんには様々な症状があり、日々ゆっくりではありますが、成長していることを感じました。そして重症心身障がい児(者)看護の奥深さを感じ、重症心身障がい児(者)看護をやってみたいと思いました。



今までの看護師生活を振り返って、いかがですか。



冨澤:当院での勤務は20年以上になりますが、やめたいと思ったことはなかったです。特に重症心身障がい児(者)病棟勤務が長かったですが、患者さんは障がいがあっても素直で明るく、私自身もその明るさやエネルギーをもらって、楽しく看護をすることができました。また重症心身障がい児(者)の看護は深く、医師、PT、保育士、指導員、養護学校の先生方などのスタッフと連携して行うチーム医療の大切さを学びました。


藤澤:重症心身障がい児(者)の看護はこれで良いということがなく、これをしたら患者さんが楽になるだろうか、あれを試したら患者さんは笑顔で過ごすことができるだろうかと考えながら看護を行っているので、毎日が充実しています。また、重症心身障がい児(者)には様々な職種が関わっており、他職種と連携を図ることで患者さんの生活がより充実したものになっていく達成感も感じています。



重症心身障がい児(者)認定看護師について、お聞かせください。



青柳:2011年度から院内認定 重症心身障がい児(者)認定看護師制度が設けられ、冨澤さん、藤澤さんのほかに2名、合計4名が30時間の研修を受講し、合格しました。研修は大変でしたか。


藤澤:いいえ、大変とは思いませんでした。研修は日々の看護に役立つ内容で、自己のスキルアップにつながり、充実した研修期間でした。


冨澤:私は副看護師長の役割もあり、スケジュール調整が大変なときもありましたが、  研修内容が幅広く、充実していたので、楽しみながら学ぶことができました。


青柳:重症心身障がい児(者)認定看護師となり、具体的にどんな活動をしていますか。また、今後どのような活動をしていきますか。


藤澤:重症心身障がい児(者)認定研修では重症心身障がい児(者)とは、リハビリ、養護学校、療育などについて学びました。その学びを基に研究を行ったり、病棟スタッフに向けた研修会を開催したりしています。また重症心身障がい児(者)においてのリハビリの大切さを実感していますので、患者さんにとって安楽なポジショニングの実際を病棟スタッフに掲示していきたいと考えています。


冨澤:私は現在、内科病棟に勤務していますが、認定研修で学んだポジショニング、排痰の技術、摂食機能療法など日々のケアで使うことが多いので、重症心身障がい児(者)の看護だけでなく、研修を受けたことが看護師として大きな財産になったと思います。内科病棟のスタッフにも、患者の安楽を考えたポジショニング方法、有効な排痰方法を伝達し、誤嚥しやすい患者さんには機能評価を行い、安全に食事が摂れるようにしていきたいと考えています。


青柳:冨澤さん、藤澤さんの生き生きとした表情を見ていると、重症心身障がい児(者)認定看護師研修を行った甲斐がありました。認定看護師として、専門的知識、技術を広め、看護師全体のレベルアップにつなげてほしいと思います。今後の活躍に期待しています。


冨澤、藤澤:はい、頑張ります。



現在のお仕事の内容を教えていただけますか。



冨澤:今年3月から内科病棟に勤務になりました。寝たきりの患者さんが多い病棟ですが、看護の基本的援助がしっかりと行えるように頑張っています。


藤澤:看護の基本となる観察、生活の援助を中心に、呼吸器をつけて学校生活を送っている患者さんの看護を行っています。また、食事を取ることが難しい患者さんに工夫しながら食事介助を行っています。



東長野病院はほかの病院と比べて、どんな違いがありますか。



冨澤:重症心身障がい児(者)の患者さんや脳梗塞後遺症の患者さんなど、自力でセルフケアのできない患者さんが多く、特に看護の力が必要な病院です。


藤澤:重症心身障がい児(者)など、慢性期の患者さんが多く、看護師、保育士、学校の先生などの様々な職種が患者さんが日々充実した生活が送れるにはどうしたらよいか考えながら関わりを持っているところです。



お仕事をしていて、どんなときに遣り甲斐を感じますか。



冨澤:工夫や色々なアプローチをしていく中で、重症心身障がい児(者)の患者さんが今までできなかったことができるようになったときですね。


藤澤:汗をかきながら食事をしていた重症心身障がい児(者)の患者さんが、体位の工夫やリラックスする方法を考えたことで楽に食事ができるようになったときや、苦しそうに呼吸をしていた患者さんが呼吸リハや体位変換のあと、楽に呼吸ができるようになったときなどです。


青柳:私は以前、言語的コミュニケーションの図れない患者さんとの関わりの中で、分かり合えたと感じたとき、とても感動しました。患者さんとの関わりは発見の連続で、とても遣り甲斐を感じます。また、小児から老年まで幅広い知識や看護が求められる病棟でもあるので、大変な面もありますが、遣り甲斐を感じられる病棟でもあります。今後、認定看護師の皆さんと力を合わせて、さらに患者さんの役に立てるようにしていきたいと思っています。