![「元気な私」はメイクでつくる [かづきれいこインタビューコラム]](../../kazki_rehabili/img/main_kazki_365.gif)
【第6回】 外観にとらわれて心を病む――「醜形恐怖症」という新しい病
「キレイ」になれば幸せになれる?
「美人は得」「キレイになれば幸せになれる」。このような考え方は昔からありました。しかし、私が気になるのは、今の日本では、それがかなり行き過ぎているのではないか、という点です。テレビや雑誌でもてはやされているモデルやタレントは、そのほとんどがスリムで目のぱっちりした美形ですし、アニメのヒロインは美少女ばかり。外観が人と少し違うだけで「キモイ」「うざい」などといわれていじめに遭うケースも多いと聞きます。
近年、醜形恐怖症という心の病に苦しむ人が増えています。醜形恐怖症とは「自分は醜い」という強迫観念にとらわれ、そこから抜け出せなくなった状態です。「私の顔をみんなが笑うから、外に出ることもできない」「私が醜いせいで友達も恋人も離れていった」。そんなふうに思い悩み、引きこもりがちになります。この病の特徴は、人間関係などが思い通りにならない場合、それらの原因を自分の外観の問題にすりかえてしまいがちなこと。その背景には、外観ばかりを重んじる、社会の誤った価値観があると思えてなりません。
現在、私は東京女子医科大学の女性生涯健康センターで、精神科の先生と連携してリハビリメイクを行っています。そこで強く感じるのは、患者さんと「普通」の人との境界がどんどんあいまいになっていることです。
相手と同じ目線に立つ
以前、私のメイク教室に、ある大学生の生徒さんが見えたことがあります。彼女は「小鼻の脇に影があるから、気になって外出もできない」と訴えるのですが、誰が見ても影などありません。私が「本当ね、この影がいやなのね」と返事をすると、彼女は「そう、これがいやなんです。先生だけがわかってくれた!」と喜びました。「じゃあ、その影を消しましょうね」といって、私は彼女にメイクをしました。といっても、もともと影などないので、チャームポイントを強調し、元気な顔にしただけです。ところが、彼女は自分の顔を見るなり、「あっ、影が消えた!」と嬉しそうに叫んだのでした。
この場合、「影なんかありませんよ。気にしてはいけません」というのが「正しい」答えだったかもしれません。しかし、私がそう言えば彼女は「この人も私の悩みをわかってくれない」と心を閉ざしてしまっていたでしょう。まずは「その人らしい、生き生きとした顔」という目標を患者さんと共有し、技術を尽くすことが第一だと思います。外観の悩みは主観的なものなので、いくら論理的に説得したところで、本人の苦しみはなくならないのです。セラピーは、相手と同じ目線に立つところから始まります。
「かづきメイク」の実践テクニックをこちらでご紹介しています

かづきれいこ
リハビリメイクの第一人者、フェイシャルセラピスト
傷ややけど痕のカバーや、それに伴う精神のケアを行う「リハビリメイク」を実施する組織を作り、また、一般の方を対象にした「かづきメイク」を全国カルチャーやREIKO KAZKI各サロンにて、レッスンを教える講師の育成に力を注ぐ。学会誌にリハビリメイクに関する論文を発表し、メイクの価値を高めるための活動にも力を注いでいる。






