![「元気な私」はメイクでつくる [かづきれいこインタビューコラム]](../../kazki_rehabili/img/main_kazki_365.gif)
【第5回】 心を軽くする言葉のはなし
「気にしないで」と言うより「気にならなくなった」と言っていただくことが大切
ある60歳代の女性に聞いた話です。入院中、男性の担当医に何か問題点や心配事は、と聞かれ、しわが急に増えたことを訴えたところ、医師は「もういいんじゃない、年なんだから」と答えたそう。彼女はひどく傷ついたといいます。
医師にしてみれば、外観の悩みなどとるに足らないことに思えたのでしょう。「たいしたことじゃない、気にしなければ大丈夫」と、むしろ善意から言ったのではないでしょうか。
しかし、「気にしないで」という言葉は、言われる側にとっては、多くの場合、自分の悩み事の否定にしか聞こえません。患者さん自身が「気にならなくなった」と実感しないうちは、悩みはなくならないのです。
こんなとき、リハビリメイクは有効です。トラブルを目立たなくすると同時に、チャームポイントを強調することで、実際にご本人が「気にならなくなる」状況に近づけていくことができるからです。リハビリメイクの目的は、トラブルを隠すことよりむしろ、その人らしいいきいきとした魅力を引き出すこと。最終的には「たとえトラブルがあっても、今の自分の顔が好き」と思っていただくことを目指しています。
メイクを行う過程で、私は患者さんとのさりげない会話をとても大切にしています。その方の悩みの本質がどこにあるのか、お話をしながら感じ取り、そのうえで適切な言葉かけができれば、と考えているためです。
言葉は、心を軽くすることも、傷つけることもできる両刃の剣です。言葉一つで、その人の悩み事に対する考え方が驚くほど変わることがあるのです。
心を軽くした「桜の花びら」という言葉
たとえばある女性は、ヨーロッパに滞在中、ずっと気にしていたあざを「桜の花びらのようね」と評され、それ以後、ほとんど気にならなくなったそうです。海外の人が、欠点だと思っていたあざを、「桜」という日本的な美しさと結びつけ、チャームポイントとして見てくれた。だからこそ、彼女はすっと気持ちが楽になったのではないでしょうか。ただし、この言葉を別の人が言ったとして、彼女が同じような気持ちになったかどうかはわかりません。相手との関係や状況によって、言葉の受け取られ方は変わってきます。
どんな現場でも、言葉の使い方は大切ですが、病院の中では、患者さんに適切なタイミングで、適切な言葉をかけることができるのは、その生活をいちばん近くで見守っている看護師さんかもしれませんね。どんなに配慮しても、相手を傷つける可能性はある――そんな言葉の「剣」の面は十分に理解したうえで、心をこめて言葉かけをすることで、不安や悩みを抱えた患者さんの気持ちを軽くしてあげられたら、それはすばらしいことではないでしょうか。
「かづきメイク」の実践テクニックをこちらでご紹介しています

かづきれいこ
リハビリメイクの第一人者、フェイシャルセラピスト
傷ややけど痕のカバーや、それに伴う精神のケアを行う「リハビリメイク」を実施する組織を作り、また、一般の方を対象にした「かづきメイク」を全国カルチャーやREIKO KAZKI各サロンにて、レッスンを教える講師の育成に力を注ぐ。学会誌にリハビリメイクに関する論文を発表し、メイクの価値を高めるための活動にも力を注いでいる。






