「元気な私」はメイクでつくる [かづきれいこインタビューコラム]

【第3回】 ある看護師さんの言葉から

「外観にもリハビリが必要ではないでしょうか」

リハビリメイク」という言葉が生まれたきっかけは、ある看護師さんの言葉でした。

今から15年前のことです。私の主宰するメイクサロンに、顔に熱傷のあとのある少女を連れた看護師さんがいらっしゃいました。少女は16歳で、全身熱傷のため数度の手術を受けたあと、退院を明日にひかえて運動機能のリハビリを行っている最中とのことでした。

「この子のリハビリはもうすぐ終わります。でも、私には、このまま退院させていいとは思えません。この子は今後、これまでとは違った外観で暮らしていかなければならないのです。ふつうの生活に戻るためには、体のリハビリだけでなく、外観のリハビリが必要なのではないでしょうか」

看護師さんはそう言って、少女にメイクを学ばせたいとおっしゃいました。「外観のリハビリ」という言葉に、私は目を開かれる思いでした。私は当時から、一般の人にメイクを教えながら、顔の傷やあざをカバーするメイクを勉強していました。メディカルメイクアップが進んでいるイギリスの医療機関に出かけて現場を見学したり、実際にメイクをしてもらったこともあります。外観のトラブルに悩んでいる人を、少しでも元気にしたい。私はつねにそう願ってきました。しかし、自分の目指すメイクが、社会復帰のための「リハビリ」だとはっきり定義づけることができたのは、彼女の言葉がきっかけだったのです。

顔と向き合うことは、自分との闘い

患者さんが自分で運動機能を回復していく体のリハビリと同様、リハビリメイクも、患者さん自身がメイクの方法を身につけることが大切です。ですから、リハビリメイクはプロしかできないような難しい技術は使いませんし、化粧品やメイク道具も、特別なものは必要ありません。「こんなに簡単にきれいになれるんだ」と患者さんが実感でき、最終的に傷やあざが気にならなくなる。それが最終目標です。

患者さんの多くは、傷やあざといった自分のせいではないことで傷ついたり、悩んだりしています。しかし、単なる同情や気遣いは患者さんの助けにはなりません。「顔は自分との闘いなの。あなたの思いは、家族にも友達にも、たぶん本当にはわかってもらえない。だから、自分の力で何とかしようよ」。キツイと思われるかもしれませんが、私はメイクを習いに訪れる患者さんに、そんなふうに声をかけることがよくあります。
まず、患者さんの悩みによく耳を傾けること。その上で、同情するのではなく、その悩みを克服するための具体的な技術や情報を提供すること――それが「外観のリハビリ」をお手伝いするフェイシャルセラピストの役割だと思っています。

「元気な私」はメイクでつくる

「かづきメイク」の実践テクニックをこちらでご紹介しています

かづきれいこ

かづきれいこ

リハビリメイクの第一人者、フェイシャルセラピスト

傷ややけど痕のカバーや、それに伴う精神のケアを行う「リハビリメイク」を実施する組織を作り、また、一般の方を対象にした「かづきメイク」を全国カルチャーやREIKO KAZKI各サロンにて、レッスンを教える講師の育成に力を注ぐ。学会誌にリハビリメイクに関する論文を発表し、メイクの価値を高めるための活動にも力を注いでいる。

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